AIの進化は目覚ましく、その中でもGPT-4は自然言語処理の最先端を走る存在で世界中から注目を浴びてます。
本記事では、GPT-4とは何か、GPT-4とGPT-3.5の違い、GPT-4の特徴、有料・無料での利用方法、情報漏洩のリスク、よくある質問について解説します。
本記事を読むことで、以下のメリットがあります。
- GPT-4の進化した7つの機能や特徴を学び、その優れた能力を理解できる
- 有料の利用方法・料金や、無料の5つの利用方法を知り、自分に最適な選択ができる
- 情報漏洩リスクについて正確な知識を得て、個人や企業の機密情報を守るための対策が取れる
それでは、GPT-4を使いこなすための情報を詰め込んだ記事です。ぜひ読み進めてみてください。
GPT-4とは?
GPT-4は、OpenAI(人工知能の研究・開発を行う非営利団体)が開発した次世代の大規模言語モデルで、2023年3月14日(米国時間)に発表されました。
GPTは「Generative Pre-trained Transformer」の略語です。
非常に高い一般知識と問題解決能力を持ち、画像やテキストデータを解析し、それに関連する情報を生成できます。これにより、さまざまな分野での活用が期待されています。
GPT-4は、前バージョンであるGPT-3.5と比較して、パラメーター数が約100兆個と大幅に増加しており、これにより精度やパフォーマンスが向上しています。
また、従来の言語モデルに比べて、複数のデータ形式(モード)を理解し、処理できる人工知能であるマルチモーダルAIとして画像データも入力できる点が大きな特徴です(参照: OpenAI公式サイト )。
GPT-4には次のような実例があります
- MicrosoftのBing検索エンジン: GPT-4は、Bing検索エンジンに導入され、より正確で自然な検索結果を提供しています。
- Microsoft 365:Microsoftは2023年3月16日、Officeアプリ「Microsoft 365」と「GPT-4」をかけ合わせた新機能を提供することを発表。今後数ヶ月で、Word、Excel、PowerPoint、Outlook、Teams、Viva、Power Platformなどに導入する予定。
- Microsoft Teams: Microsoft TeamsにGPT-4が搭載後は、会議の音声から自動的に議事録を作成する機能が提供される予定です。
- 試験問題解決: GPT-4は模擬司法試験で受験者上位10%の成績を収めており、高い問題解決能力が証明されています。
- 画像認識: GPT-4は、画像データを入力すると、その画像がどのような意味を持っているか、文章として出力することが可能です。
GPT-4は、従来の言語モデルを凌駕する性能と多様なタスクへの対応力を持ち、今後さまざまな分野での応用が期待されています。
その一方で、大規模なモデルゆえにリソース要求やセキュリティ・プライバシーの懸念も存在しますが、今後の技術進歩により、これらの課題も解決されることが期待されています。
「ChatGPT」についてはこちらの記事に詳しく解説しています。
GPT-4を開発したOpenAIとは?
OpenAIは、2015年にサム・アルトマンやイーロン・マスクをはじめとする有名な起業家や研究者によって設立されました。
GPT-4をはじめとする画期的な人工知能の研究と開発に専念する非営利団体です。
OpenAIの目的は、安全かつ透明な方法でAI技術を発展させ、全ての人々に利益をもたらすことです。OpenAIの開発チームは、最先端のAI技術を生み出すために、研究成果を積極的に共有しています(参照: OpenAI公式サイト )。
OpenAIは、AIの安全性と広範な利益についての責任を深く認識しています。
例えば、OpenAIはGPT-3のリリース時に、その使用について厳格なガイドラインを設けました。これは、テクノロジーが誤用されることを防ぎ、社会全体にとって有益であることを確保するためです。
そして、GPT-4のリリースにおいても、同様の配慮がなされています。
「OpenAI」についてはこちらの記事に詳しく解説しています。
GPT-4とGPT-3.5の違い
AI技術の進化により、GPT-4がGPT-3.5よりも高機能になりましたが、その違いを知らない人も多いでしょう。
この項目では、GPT-3.5とGPT-4の基本的な違いや、GPT-4が持つ画像入力機能、高精度な日本語対応、試験得点率の向上、幻覚の低減、危険な回答の低減などの進化について詳しく解説します。
記事を読むことで、GPT-4の特徴とメリットを理解し、今後のAI技術活用に役立てることができるでしょう。
GPT-4とGPT-3.5との基本的な違い
GPT-4はGPT-3.5よりも性能が大幅に向上し、より多機能で柔軟なAIです。
GPT-4はGPT-3.5と比較して、パラメータ数が大幅に増加し、訓練データも多く使用されています。より高い知識レベルの強化された機能を持っています。
また、日本語の処理能力が向上し、より高い精度で日本語の文章生成が可能になっています。
さらに、GPT-4はマルチモーダルな能力を持ち、画像処理も可能になりました。これにより、GPT-4はより広範なタスクに対応できるようになっています(参照: OpenAI公式サイト)。
このようにGPT-4は、GPT-3.5と比較して、多くの点で進化を遂げたAIモデルです。その結果、ユーザーはより高度で多様なタスクをGPT-4を使って解決できるようになりました。
それでは、具体的なGPT-4とGPT-3.5との違いを紹介します。
マルチモーダルAI: GPT-4の画像入力機能について
従来のGPT-3.5は主にテキストデータの処理に特化していましたが、GPT-4では画像入力機能が追加され、テキストと画像の両方を同時に処理できるようになりました。
これにより、より多様なタスクに対応できるようになりました。
具体的には、GPT-4はユーザーが提供した画像を分析し、それに関連する質問に答えることが可能です。
例えば、ある建築物の写真を入力として与えた場合、GPT-4はその建築物に関する質問に答えることができます。これはGPT-3.5では不可能なことでした。
GPT-4の持つマルチモーダルAIは、AIが人間とのコミュニケーションにおいて更なる役割を果たすことを可能にしています。GPT-4の画像入力機能はその一例であり、AIの可能性を一層広げています。
この進化により、GPT-4はさらに広範な分野での応用が期待されています。
日本語処理能力の進化: GPT-4の高精度な日本語対応
GPT-4はGPT-3.5に比べ、日本語処理能力が大幅に向上し、より自然で正確な日本語の生成や理解が可能になりました。
以前のGPT-3.5では、英語は高精度であったものの、日本語など他の言語は、回答が不自然だったり、間違っていたり、内容が薄かったりと、精度が低いという問題がありました。
しかし、GPT-4では、これらの問題が大幅に改善されました。
GPT-4の性能テストにおいて、下図のグラフが示すようにテスト対象の26言語中24言語で、GPT-3.5の英語よりも精度が高い結果が得られました。
GPT-4の日本語処理では、GPT-3.5の英語のスコアが70.1%だったのに対し、GPT-4の日本語は79.9%と精度が大幅に向上しているが分かります。
これにより、より自然で正確な日本語の生成や理解が可能になりました。
これにより、日本語のテキスト生成や解析など、より幅広い日本語タスクへの対応が可能となり、日本語圏でのAI利用が一段と広がる可能性があります。
GPT-4における試験得点率の向上
GPT-4は、GPT-3.5と比較して、より高度な知識処理が可能になり、様々な試験での得点率が大幅に向上しました。
下図のグラフが示すように、OpenAIがGPT-3.5(青)とGPT-4のテキストのみ(薄い緑)、GPT-4の画像入力も含む(濃い緑)で行った様々な試験結果によると、ほとんどの試験でGPT-4がGPT-3.5よりも高い得点率を示しています。
例として、統一司法試験(Uniform Bar Exam)では、GPT-3.5は受験者の下位10%のスコアしか取れなかったのに対し、GPT-4は上位10%のスコアで合格できる水準に達しています。
また、米ワシントン大の笠井淳吾研究員らが、GPT-4で2018~2022年の5年分の日本の医師国家試験を解かせたところ、すべてで合格ラインを上回ったことを明らかにしました。
ただ、上のグラフのとおり、人間の受験者の平均点よりは下回っています。
また、患者を安楽死に誘導する選択肢を選んだり、妊婦の患者には投与できない薬剤を選んだりといった不適切な解答もみられたそうです。
各国の法律やルールを知らないなど、まだまだ改善の余地はあります。
しかし、これらの結果からGPT-4は複雑な問題解決や専門知識の理解にも優れていることは間違いなく事実です。
このようにGPT-4は、GPT-3.5と比較して試験得点率が大幅に向上し、より高度な知識処理が可能となりました。
これにより、GPT-4は様々な分野での応用が期待されており、従来のGPT-3.5を上回る性能を発揮することができます。
今後、GPT-4の能力がさらに活用されることで、AI技術の進化が加速し、人々の生活やビジネスに大きな影響を与えることが予想されます。
AIの幻覚(ハルシネーション)の低減: GPT-4の信頼性と改善点
GPT-4は、GPT-3.5に比べてAIの幻覚(ハルシネーション)が大幅に低減され、より正確で信頼性のある回答が得られるようになっています。
OpenAIが公開したGPT-4(緑)と最初の3つのChatGPTバージョン(2~4)を比較した下図のグラフでは、特に数学のスコアが約50%から70%以上に大幅に改善されていることがわかります。
科学や歴史の分野においてもスコアが高くなっています。
また、GPT-4は、GPT-3.5よりも40%高いスコアでハルシネーションを起こさなくなったとOpenAIが報告しています。
GPT-4はGPT-3.5と比べて、AIの幻覚(ハルシネーション)が大幅に低減され、より正確な情報提供が期待できるようになりました。
しかし、完全に信頼性のある情報提供にはまだ至っていないため、重要な情報収集や意思決定においては、複数のソースやファクトを確認することが重要です。
ChatGPTは、例えば下記のような誤りに注意が必要です。
- ソースコードの誤り: AIが提案したソースコードを実装すると、バグが含まれている可能性があり、システムの障害につながることがあります。
- 歴史的事実の誤り: 歴史上の出来事や人物に関する情報が誤って伝えられることがあります。例えば、AIが間違った年代や戦争の勃発原因を提供する可能性があります。
- 医療情報の誤り: 医療に関するアドバイスや治療法が正確でない場合、患者にとって危険な状況を引き起こす可能性があります。例えば、AIが適切でない薬の組み合わせを推奨することがあるかもしれません。
- 金融情報の誤り: 株価や投資に関する情報が誤って提供されることで、投資家が損失を被るリスクがあります。例えば、AIが過去のデータに基づいて将来の株価を予測する際に、間違った結果を提供することがあります。
- 架空の企業や製品の紹介: AIが実在しない企業や製品を紹介することがあります。例えば、AIがある技術が実在すると主張し、それに関連する企業や製品を紹介することがありますが、それらは実際には存在しない場合があります。
これらの実例からわかるように、幻覚のリスクはさまざまな分野で発生する可能性があります。
そのため、AIが提供する情報については、他の信頼できる情報源と照らし合わせて検証することが重要です。
また、GPT-4は2021年9月までのデータをベースにしているため、2021年10月以降の出来事については正確な回答が期待できないことに注意が必要です。(ChatGPTのアップデートにより、GPT-4は2023年4月までの知識が追加されました。「ChatGPT GPT-4のアップデート」についてはこちらの記事に詳しく解説しています。)
将来的には、こういった問題を解決するためにさらなる開発が進められることが予想されます。
危険な回答の低減: GPT-4による安全性の向上
GPT-4はGPT-3.5と比較して、危険な回答を減らすことで安全性が向上しています。
OpenAIは、AIの安全性向上のために、50人以上の専門家(AIアライメントリスク、サイバーセキュリティ、バイオリスク、信頼と安全性、国際セキュリティなどの分野)と協力し、モデルのテストを行いました。
この結果、危険なリクエストへの回答を拒否する訓練が行われ、有害な出力が大幅に減少しました。
具体的なデータは、OpenAIの公式サイトで公開されている下図で示されているとおりです。
GPT-4は、GPT-3.5と比較して、センシティブなプロンプトに対する不正確な出力を約半減させ、許可されていないプロンプトに対する不正確な出力を82%も減らすことに成功しました。
プロンプトとは、人間がAIに指示を出すためのメッセージまたは命令や質問のことです。
なお、有害な出力に関する内容は、OpenAIのガイドラインに定義されています。(参考: Usage policies:OpenAI公式サイト)
項目 | GPT-3.5-turbo | GPT-4 |
---|---|---|
センシティブなプロンプトへの不正確な回答割合 | – | 約半減 |
許可されていないプロンプトへの不正確な回答割合 | – | 82%減少 |
このようにGPT-4は、GPT-3.5と比較して安全性が向上し、危険な回答を減らすことができています。
GPT-4の安全性向上は、AI技術の発展において重要な要素であり、OpenAIは今後も安全性の研究に力を入れていくことが予想されます。その取り組みにより、AIはエンターテインメントから医療、研究、ビジネスまで幅広い分野で信頼性の高い情報提供やサポートを行うことができるようになるでしょう。
さらに、GPT-4のようなAIモデルの普及が進むことで、個人や企業は緊急事態や困難な状況においても適切な対応を行うことができるようになります。
その結果、危機管理や問題解決の能力が向上し、社会全体のレジリエンスが高まることが期待されます。
GPT-4の革新的な7つの特徴
近年のAI技術の進化は目覚ましく、特にGPT-4はその先駆者となっています。
しかし、多くの人々はGPT-4がどのような特徴を持ち、それがどのような問題解決に役立つのかを十分に理解していません。
この項目では、以下のGPT-4の7つの主要な特徴を詳細に解説し、それぞれがどのように私たちの日常生活やビジネスに革新をもたらすかを明らかにします。
記事を読むことで、GPT-4の潜在能力を最大限に活用する方法や、どのようなシーンで役立つのかを把握できるようになります。
今すぐ読んで、GPT-4を活用した未来の可能性を探りましょう!
GPT-4の特徴①マルチモーダル機能による革新
GPT-4は、マルチモーダル機能を備えたAIであり、テキストだけでなく画像も扱える革新的な技術を持っています。これにより、より複雑なタスクの実行が可能となり、AIの活用範囲が広がります。
これは従来のGPT-3やGPT-3.5ではできなかったことであり、画像入力機能がGPT-4の大きな特徴となっています。
OpenAI公式サイトで公開されている画像入力機能の実例
・画像のおかしい部分を解釈できる
・画像のチャートを推論する
・画像から試験問題を解く
・画像から普通とは異なるものを判別できる
・画像の論文を読み取り要約できる
・ミーム(面白画像)のジョークを理解して説明できる
・マンガのストーリーを考察して説明できる
以下に、GPT-4の画像入力機能の実例を順番に紹介します。
画像のおかしい部分を解釈できる
スマホに大きくて時代遅れのVGAコネクタを差し込んでいる画像のユーモアを、GPT-4が理解できます。
画像のチャートを推論する
画像チャートにある地域ごとの肉の1日の平均消費量や、合計の消費量などを導き出すことができます。
画像から試験問題を解く
画像のエコールポリテクニークの試験問題を解くことができます。
画像から普通とは異なるものを判別できる
GPT-4が「この画像で珍しいのは、移動中のタクシーの屋根に取り付けられたアイロン台で、男性が洋服にアイロンをかけていることです。」と、普通と異なることを解釈して説明することができます。
画像の論文を読み取り要約できる
画像の論文を読んで要約することができます。
ミーム(面白画像)のジョークを理解して説明できる
GPT-4が「このミームは、宇宙から見た地球の写真とチキンナゲットという、関係のない2つのものを組み合わせたジョークである。ミームのテキストでは、下の画像は宇宙から見た地球の美しい写真であるかのように書かれています。しかし、実際にはチキンナゲットを世界地図に似せて並べたものである。」と、ミーム(面白画像)のジョークを理解して説明できます。
マンガのストーリーを考察して説明できる
マンガを見て、面白さを順番に理解できます。
いかがでしたでしょうか?
これらの事例は、GPT-4が画像の内容を正確に解釈し、関連するテキストを生成できることを示しています。
画像だけを見て、これらのことをいとも簡単に成し遂げてしまうGPT-4に驚愕されたのではないでしょうか。
このようにGPT-4はマルチモーダル機能により、テキストだけでなく画像も扱うことができます。
これにより、より複雑で多様なタスクを実行し、人間とのコミュニケーションをより円滑に行うことが期待されます。
なお、この機能はまだ一般公開されていません。今後の開発が楽しみですね。
GPT-4の特徴②長文会話の対応能力向上
GPT-4は、従来のモデルに比べ大幅に長いテキストを扱えるようになり、長文会話の対応能力が向上しています。
GPT-3.5では最大で4096トークン(約2,048単語)のテキストを扱うことができましたが、GPT-4ではこの数値が32,768トークン(約25,000単語)まで増加しました。
これはGPT-3.5と比べて約7.9倍もの差があることから、GPT-4は長文の会話に対応できる能力が向上しています。
トークンとは文字と単語の間の単位であり、トークン数が多いほど単語数が増えるということです。
例えば、研究者や学生が論文を作成する際に、従来のモデルでは文章量の制約があったため、より詳細な分析や説明が難しかったと言われています。しかし、GPT-4の登場によって、その制約が大幅に緩和され、論文の質や量を向上させることが期待されています。
長文が可能になったことにより、以下のような実用が可能になりました。
・論文の作成: 長い論文の自動生成が可能となり、研究者の負担を軽減できます。
・小説の執筆: 25,000単語にも及ぶ長編小説の執筆が、GPT-4によって実現できるようになります。
・顧客対応: 顧客からの長い問い合わせに対しても、GPT-4は適切な回答を生成できるため、カスタマーサポートの効率が向上します。
このようにGPT-4は、25,000単語までの長文会話に対応できる能力を持ち、これにより従来のモデルと比べて大幅な進歩が見られます。
研究者や学生が論文を作成する際にも、この進化により、より詳細で質の高い文章が書けるようになるでしょう。今後のGPT-4の進化が、さまざまな分野での応用や革新に貢献することが期待されます。
GPT-4の特徴③専門分野と学術面でのパフォーマンス向上
GPT-4は、専門分野や学術面でのパフォーマンスが大幅に向上し、より高度な問題への対応が可能になりました。
GPT-4における試験得点率の向上でも前出したとおり、OpenAIによるテストでは、GPT-4は模擬司法試験でテスト受験者の上位10%程度のスコアを獲得し、一方のGPT-3.5は下位10%程度でした。
この結果は、6か月間にわたる敵対的学習やChatGPTから得た教訓を反復的に適用してGPT-4をチューニングすることで実現しています。
GPT-4の専門分野と学術面でのパフォーマンス向上により、以下のような応用が期待されます。
・法律相談: 司法試験の問題を解決できる能力を持つため、一般の法律相談にも対応できます。
・医療情報提供: 医学分野の知識が向上し、患者に対する情報提供がより正確になります。
・科学研究支援: 学術論文の検索や要約が容易になり、研究者の負担を軽減できます。
このようにGPT-4は、専門分野と学術面でのパフォーマンスが大幅に向上し、従来のモデルでは対応が困難だった専門的な問題にも対応できるようになりました。
これにより、法律や医療、科学研究などの分野での活用が広がり、人々の生活や仕事においてさらなる利便性が期待できます。
GPT-4の専門性と学術面での高いパフォーマンスは、AI技術の進化を象徴するものであり、今後の発展が期待されています。
GPT-4の特徴④ディープラーニング技術の向上
GPT-4の開発ではディープラーニングスタックを再構築したことで、ディープラーニング技術やが大幅に改善され、性能の向上や安定したシステムが実現されました。
ディープラーニングスタックとは、ディープラーニングモデルを構築、トレーニング、そして運用するために必要なソフトウェア、ハードウェア、および関連技術の集合体です。これらの要素がうまく組み合わさることで、効率的で正確な機械学習モデルを実現します。
過去2年間で、OpenAIはディープラーニング技術全体を見直し、Microsoft Azureと共同で専用のスーパーコンピュータを設計しました。この結果、GPT-4のトレーニングは非常に安定し、事前にトレーニング性能を正確に予測できる最初の大規模モデルとなりました。
さらに、同じ手法を用いて10,000倍の計算量でトレーニングされたモデルから、GPT-4の最終損失を正確に予測しました。
ディープラーニング技術の向上による効果は以下のような点で現れています。
・性能の向上: GPT-4プロジェクトでは、さまざまな大きさの問題に対して効率的に対応できる構造と、性能を最大限引き出す最適化手法が開発されました。
・トレーニングの安定性: 進化した技術と効果的な最適化により、極めて安定した状態が保たれています。
・短期的な成果: GPT-3.5のトレーニングは、新しいシステムの最初の「テストラン」として行われ、バグの特定や理論的基盤の改善につながりました。また、開発チームが効率的なトレーニング手法を確立し、将来のモデル開発において迅速な進展を達成するための実践的な知識を得ることができました。
このように、GPT-4のディープラーニングスタックの再構築やディープラーニング技術の向上は、AI技術の発展において重要な成果をもたらしました。
これにより、非常に大規模なトレーニングを行う際に、モデル固有のチューニングを行わずとも、安定したトレーニングと効果的な性能が実現されました。
今後の技術発展においても、このような取り組みが重要な役割を果たし、AI技術の安全性や信頼性を向上させることが期待されます。
GPT-4の特徴⑤高度なプログラミング能力
GPT-4は高度なプログラミング能力を持ち、非エンジニアでもプログラムを作成する事例が存在します。
例えば、GPT-4を使って、簡単なウェブサイトのコードを作成したり、自動でプログラムを修正・実行できるAIツールを開発したりなどです。
高度なプログラミング能力には、以下のような実例があります。
・GPT-4による美容室向けウェブサイトのコード生成
・非エンジニアがGPT-4でアプリを作成
・GPT-4を用いたPythonコードの自動修正・実行ツール「Wolverine(ウルヴァリン)」を開発
・GPT-4でPythonの画像ビューワを作成
実例を順番に紹介します。
GPT-4による美容室向けウェブサイトのコード生成
GPT-4を使って美容室向けのウェブサイトのコードを生成する事例を紹介します。
(参照: Chat(チャット)GPTのGPT-4とは?何がすごい?無料版はどこで使える? | 起業・創業・資金調達の創業手帳 )
GPT-4に「おしゃれな美容室向けのホームページのコードを作ってください」と指示するだけで、HTML、CSS、JavaScriptを含むシンプルなウェブサイトのコードが生成されています。
この基本的なコードに、後から画像データやデザインの装飾を追加することで、短時間で美容室向けウェブサイトを立ち上げることが可能となります。
GPT-4によるコード生成は、ウェブ開発を手軽に行いたい初心者にとって大変便利な方法です。
非エンジニアがGPT-4でアプリを作成
非エンジニアの記者がGPT-4を使用してアプリを作成することに挑戦しました。
(参照: 非エンジニアだけどGPT-4でアプリ作ってみた 経験ゼロでも欲しい機能ができちゃった – ITmedia NEWS )
そして彼はGPT-4に指示を与え、指定されたファイル内の画像をすべてJPEG形式に変換するアプリケーションを開発することができました。
GPT-4を用いたPythonコードの自動修正・実行ツール「Wolverine(ウルヴァリン)」を開発
BioBootloaderと名乗る開発者が、GPT-4を活用したPythonコードの自動修正・実行ツール「Wolverine(ウルヴァリン)」を開発しました。
Today I used GPT-4 to make "Wolverine" – it gives your python scripts regenerative healing abilities!
— BioBootloader (@bio_bootloader) March 18, 2023
Run your scripts with it and when they crash, GPT-4 edits them and explains what went wrong. Even if you have many bugs it'll repeatedly rerun until everything is fixed pic.twitter.com/gN0X7pA2M2
ウルヴァリンは、プログラム開発におけるデバッグ作業をAIで行うことができる革新的なツールです。
ウルヴァリンは、Pythonで書かれたコードを実行し、エラーが発生すると、その部分に自動的に修正を加えます。
また、コード内に複数のバグが存在していても、すべてのバグが解消されるまで修正と実行を繰り返します。これにより、ソフトウェア開発の効率を大幅に向上させることが期待されています。
ちなみにツールの名称は、マーベル・コミックに登場する急速治癒能力を持つスーパーヒーロー「ウルヴァリン」から名付けられています。
GPT-4でPythonの画像ビューワを作成
GPT-4を利用してPythonの画像ビューワを作成した例です。
(参照: 【ChatGPT】GPT-4でPythonの画像ビューワを作成してみた | DevelopersIO)
ユーザーはコードを一から書くことなく、GPT-4が必要なプログラムの基本部分を生成している様子がわかります。
これにより作業効率が大幅に向上し、また、プログラムを実行しながら、求める機能を順次追加していくことが可能となります。
GPT-4を用いた画像ビューワの作成は、プログラミング初心者にも親しみやすく、非常に便利な方法でしょう。
GPT-4の特徴⑥文章の添削や校正、要約能力の向上
GPT-4は、文章の添削や校正や要約において、非常に高い性能を発揮し、ビジネスシーンや学術分野での利用価値が大幅に向上しています。
GPT-4は、従来のGPT-3と比較して一度に要約できる文字数が10倍に増加し、25,000文字まで対応できるようになりました。これにより、より長い文章の概要を把握することが可能となり、より多くの場面で活用できるようになっています。
例えば学術分野では、GPT-4を用いて論文の要約や抜粋を行うことができます。
研究者が多くの論文を読み解く際、GPT-4によって効率的に重要なポイントを把握できるようになり、研究の進捗が向上します。
また、ニュース記事の要約にも活用されており、読者が短時間で情報をキャッチアップできるようになっています。
さらに、GPT-4は文章の校正や添削能力も向上しており、例えばブログや報告書、会議の議事録作成などの時にGPT-4を利用することで、文法や表現の間違いを修正し、高品質な文章を作成することもできます。
このようにGPT-4は、文章の添削や校正や要約においても驚くべき進化を遂げており、それによってさまざまなシーンでの利用が広がっています。
GPT-4の登場により、多くの人々がその恩恵を受けることができるようになりました。
GPT-4の特徴⑦小説や台本、論文、ブログ、メルマガなどの高度な文書作成能力
GPT-4は、膨大なデータセットをもとに学習しており、文脈やニュアンスを理解する力が大幅に向上しています。そのため、従来の自然言語処理モデルでは難しいとされていた高度な文書作成も可能となりました。
例えば、以下に挙げる小説や台本、論文、ブログ、メルマガなどの文書です。
・小説: GPT-4は、短編小説や長編小説のプロットを自動生成し、登場人物や背景設定なども含めて物語を書き上げることができます。2022年には文学賞(日経「星新一賞」一般部門優秀賞)を入選したものも存在しています。
・台本: 映画やドラマの脚本家がGPT-4を利用して、独創的なストーリーやセリフを考案する際のインスピレーションとして活用されています。また、GPT-4によって効率的に台本の草稿を作成し、さらなるブラッシュアップを行うことができます。
・論文: 研究者は、GPT-4を用いて論文の概要や結論部分を作成する際のアシストを受けることができます。また、既存の研究成果を元に新しいアイデアを提示する機能も利用されています。
・ブログ: GPT-4は、特定のテーマに沿ったブログ記事を効率的に生成し、読者の興味を引くコンテンツを提供することができます。SEO対策も考慮した記事作成が可能であり、ウェブサイトの集客力を向上させることができます。
・メルマガ: GPT-4は、定期的に配信されるメルマガの記事作成を助け、読者に有益な情報を届けることができます。個々の読者の興味に合わせてパーソナライズされたコンテンツも生成することが可能です。
以上のように、GPT-4は、小説や台本、論文、ブログ、メルマガなどの高度な文書作成能力を有し、多様な分野で質の高いコンテンツを生成することができます。
GPT-4の技術は、クリエイティブな作品制作から研究や情報発信まで幅広く活用されており、人々の創作活動を劇的に変革しています。
また、GPT-4によって文書作成が効率化されたことにより、制作者により多くの時間を創造的なアイデアや編集作業に充てることができるようになります。それが最終的な作品の質向上にもつながることができます。
今後クリエイターや専門家たちにとって強力なアシスタントとなることが期待できます。
ただし、注意点としては、AIが生成した文書にはまだまだ限界があり、最終的なチェックや編集作業は人間が行うことが重要だということです。
ユーザーは、適切な使い方を理解して、GPT-4の力をいかに最大限に活用するかが課題となるでしょう。
GPT-4を使う2つの方法:有料のChatGPT Plusと無料の方法
最新モデルであるGPT-4を使う方法は、大きくわけて有料と無料の2つの方法があります。
GPT-4を使う2つの方法
- 有料:OpenAIが提供している「ChatGPT Plus」に登録する方法
- 無料:複数の方法があります
有料の「ChatGPT Plus」は、月額20米ドル(1ドル130円の場合で2600円)のサブスクリプションサービスとなっています。
「月額20米ドルを支払ってまで、ChatGPT Plusに登録する価値はあるの?」と思う方は多いと思いますので、ChatGPT Plusに登録するメリットを挙げます。
有料プランChatGPT Plus(月額20米ドル)に登録するメリット
ChatGPT Plus(月額20米ドル)に登録するメリットは、最新モデルGPT-4が使えるほかに
本記事を執筆中に、上記の2つの新機能「Webブラウジング」「サードパーティ製プラグイン」が提供開始されました。
OpenAIが、2023年5月12日に実験的な新機能としてβ版を提供開始すると発表した矢先でした。
We’re rolling out web browsing and Plugins to all ChatGPT Plus users over the next week! Moving from alpha to beta, they allow ChatGPT to access the internet and to use 70+ third-party plugins. https://t.co/t4syFUj0fL pic.twitter.com/Mw9FMpKq91
— OpenAI (@OpenAI) May 12, 2023
「Webブラウジング機能」には、Microsoft社のBing検索APIが使われているようです。
「サードパーティ製プラグイン」については、今後70以上のプラグインが使えるようになるとのことです。
これらの機能が追加されたことは、有料プラン「ChatGPT Plus」に登録する大きなメリットとなるでしょう。
ChatGPT Plusの新機能「Webブラウジング」「サードパーティ製プラグイン」の使い方は、後ほど紹介します。
それでは、まずは有料の「ChatGPT Plus」に登録する方法を紹介します。
ChatGPT Plusに登録する方法
ChatGPT Plusに登録するには、まずはOpenAIのアカウントを作成します。
すでにアカウントを持っている場合は、ステップ4からで大丈夫です
ステップ1: OpenAIのウェブサイトにアクセス
OpenAIの公式ブログ(https://openai.com/blog/chatgpt)にアクセスします。
[Try ChatGPT]をクリックしてログイン画面に移行します。
ステップ2: OpenAIアカウント作成
OpenAIのアカウントを作成します。[Sign up]をクリックします。
メールアドレスまたはGoogleやMicrosoftのアカウントで、アカウントを作成します。
ステップ3: メール認証でアカウント作成完了
登録したメールアドレスに、OpenAIから件名「OpenAI – Verify your email」のメールが届くので確認してください。
メール文中の[Verify email address]から登録画面に移行して、名前と電話番号を登録します。
ショートメールで6桁の認証コードが送られてきます。認証コードを入力するとアカウント作成完了になります。
ステップ4: ChatGPTにログイン
作成したアカウントでChatGPTにログインします。
ステップ5: ChatGPT Plusに登録
左下にある[Upgrade to Plus]をクリックします。
ポップアップが表示されるので[Upgrade plan]をクリックします。
ステップ6:クレジットカードを登録
クレジットカード情報を入力して、[申し込む]をクリックして20米ドルの支払いを行います。
支払いが完了すると、ChatGPT Plusにアップグレード完了の画面が表示されます。これでChatGPT Plus登録完了です。
[Continue]をクリックします。
ステップ7:GPT-4の使い方
ChatGPT Plus登録後は、下図のようにGPT-4が選択可能になります。
GPT-3.5(無償モデル)も選択可能です。
この画面には、GPT-3.5とGPT-4の性能(推論、応答速度、簡潔さ)がそれぞれ表示されています。
比較は次のとおりです。
モデル | Reasoning(推論) | Speed(応答速度) | Conciseness(簡潔さ) |
---|---|---|---|
GPT-4 | ★★★★★ 5 | ★★☆☆☆ 2 | ★★★★☆ 4 |
GPT-3.5 | ★★★☆☆ 3 | ★★★★★ 5 | ★★☆☆☆ 2 |
応答速度は下がってますが、推論や簡潔さはかなり向上していますね。
なお、GPT-4は3時間あたり25のメッセージ上限があります(公開当初は4時間あたり100メッセージでしたが、かなり減少しましたね…)。
GPT-4は計画的に利用しましょう!
「ChatGPTの各プランの料金と違い」についてはこちらの記事に詳しく解説しています。
ChatGPTの二要素認証(2段階認証)を有効にする方法
特にChatGPT Plusユーザーの方や、今後ChatGPTをバリバリ活用したいと思う方は、セキュリティ面や情報漏洩対策について不安に思っている方が多いと思います。
そこで、「ChatGPTの二要素認証を有効」にしておくことをおすすめします。
この項目では、「二要素認証の有効にする方法」を3ステップで説明します。
ステップ1.ChatGPTのSetting画面を表示する
ChatGPTの二要素認証はデフォルトでは無効になっています。
まずはじめに、ChatGPTの画面の左下に表示されているメールアドレス横のメニュー[…]からSettingをクリックします。下の画面になります。
一番下のEnable two-factor authenticationの横の[Enable]ボタンをクリックしてください。
ステップ2.認証アプリでQRコードをスキャンする
下記の画面が出ますので、「Google Authenticator」や「Microsoft Authenticator」などの認証アプリを使って、表示されたQRコードをスキャンしてください。
認証アプリでQRコードをスキャンすると、アプリにワンタイムコードが表示されます。
そのワンタイムコードを入力して[続く]をクリックします。
これで、ChatGPTの二要素認証が有効になりました。
再度、ChatGPTのログインを求められたらログインしてください。
ステップ3.ChatGPTの二要素認証が有効になってるかを確認する
画面左下のメールアドレス横のメニュー[…]からSettingをクリックして、Enable two-factor authenticationの横が[Disable]と表示されていれば、二要素認証の有効が設定完了しています。
今後、ChatGPTからワンタイムコードを求められた場合は、今回使用した認証アプリを開いて表示されたワンタイムコードを入力することになります。
無料でGPT-4を使う5つの方法
GPT-4の驚異的な機能を知ったけど、まずは無料で試してみたいな。
そんな感想を抱くあなたへ、この項目は必読です。
実は、GPT-4を無料で活用する方法が5つあります。それらは、Bingなどの検索エンジンから、先進的なAIサービスまで多岐にわたります。
以下が、GPT-4を無料で活用する5つの方法です。
GPT-4を無料で活用する5つの方法
この記事を読むことで、あなたはGPT-4の能力を手軽に、しかも無料で体験することができます。なお、利用は自己責任でお願いします。
それでは順番にご紹介します。
①Microsoft社の検索エンジン「Bing」
Microsoft Bing(以下「Bing」)とは、米Microsoft社のブラウザ「Microsoft Edge」にデフォルトで採用されている検索エンジンのことです。
「Bing」は、ブラウザ「Microsoft Edge」を開いて使用します。
「Microsoft Edge」はWindowsには標準搭載されていますが、インストールされてない場合は、こちらのMicrosoftの公式サイト(Microsoft Edge について)からダウンロードしてください。
「Microsoft Edge」を開いてログインして、Microsoft Bingのトップページにアクセスします。
この画面から、すぐにBingのAIチャットを始めることができます。
または、上部のメニューの[チャット]をクリックするか、右上の[b]の青いロゴをクリックしても、AIチャットが使用可能です。
「Bing」の詳しい解説は、Microsoft Bingの公式サイト(新しいBing)を参考にしてください。
「Bing」の注意点としては、下記のMicrosoft社が公式ブログで公表しているとおり、BingのGPT-4は「検索用にカスタマイズしたGPT-4」となっています。
本家の「ChatGPT Plus」のGPT-4と「Bing」のGPT-4は、同じ仕様ではないことを認識しておきましょう。
②Hugging Face
無料でGPT-4が利用できる「Hugging Face」です。
Hugging Faceは創業2016年。AI特化のプラットフォーム事業を行う企業です。
時価総額20億ドルを超える急成長中のユニコーン企業として注目されています。(参照 画像AIを調べると必ず出てくる謎のサイト「Hugging Face」ってナニモノ? 正体は急成長中の“ユニコーン” – ITmedia NEWS )
③Forefront chat
無料でGPT-4が利用できる「Forefront chat」です。画像生成も可能です。
Googleアカウントまたはメールアドレス等でサインインが必要です。
モデルでGPT-4を選択して使用します。選択するペルソナによって、最適な回答を得られるようです。
なお、GPT-4は3時間10メッセージの制限があります。
④ora
無料でGPT-4が利用できる「ora」です。
Googleアカウントまたはメールアドレスでサインインが必要です。
1日の回数制限があります。
⑤AIOne
無料でGPT-4が利用できる「AIOne」です。Topaz合同会社が提供しています。
メールアドレスで登録が必要です。
無料プランの場合は、1日10回の制限があります。
画像生成AIも使用可能で、無料プランの場合は1日10回の制限があります。
GPT-4の情報漏洩はあるのか?
GPT-4の能力は素晴らしいけれど、情報漏洩のリスクはないのかな?
現代は特に、個人情報や企業の機密情報の取り扱いに最大限の注意が必要な時代です。
この疑問は誰もがGPT-4を使う上で必ず抱くものでしょう。
2023年3月31日、イタリアが「ChatGPTが個人データを収集する行為が、個人情報保護法に違反する疑いがある」として、イタリア国内でのChatGPTの使用を一時禁止にしたニュースは世間を騒がせました。
OpenAIが個人データの取り扱いについて改善策を導入したことで、2023年4月28日に一時使用禁止は解除されました。
そこで、この項目では、GPT-4と情報漏洩の関係について解説します。
この記事を読むことで、あなたはGPT-4を安心して利用するための知識を得ることができます。AIの可能性を最大限に引き出しながら、安全に利用するための方法を学びましょう。
ユーザーが送信した情報はChatGPTのトレーニングとして利用される
まず理解しておきたいのは、ユーザーが入力した情報はGPT-4(ChatGPT)のシステムを改善するためのトレーニングとして利用されるということです。
当然、個人情報や企業の機密情報も同様です。
つまり、個人情報や企業の機密情報を入力すると、他のユーザーがGPT-4を使用した際の応答に、個人情報や企業の機密情報が含まれる可能性があるという情報漏洩のリスクが存在します。
個人情報や企業の機密情報の入力には十分注意をしましょう。
- チャット履歴をオフにする
2023年4月24日にOpenAIがChatGPTのチャット履歴をオフにする機能を追加しました。オフになっているときに開始された会話は、モデルのトレーニングや改善には使用されません。また、履歴サイドバーには表示されません。
(参照: New ways to manage your data in ChatGPT – OpenAI公式ブログ ) - OpenAIのAPIを利用する
OpenAI公式サイトのAPIデータ使用ポリシーのページに、「当社の API を介して顧客から送信されたデータを使用してモデルをトレーニングまたは改善することはありません。」と明記されています。
(参照: API data usage policies – OpenAI公式サイト ) - OpenAIにオプトアウト申請する
OpenAI公式サイトのヘルプセンターのフォームからオプトアウト申請することによって、モデルのトレーニングに使用されなくなります。
(参照: How your data is used to improve model performance | OpenAI Help Center )
ユーザーが送信した情報はOpenAIが30日間保持する
前出したとおり、2023年4月24日にOpenAIがChatGPTのチャット履歴をオフにする機能を追加しました。オフになっているときに開始された会話は、モデルのトレーニングや改善には使用されません。
しかし、チャット履歴をオフにしたとしてもOpenAI公式ブログ に「会話は30日間保持され、悪用を監視するために必要な場合にのみ確認されてから、完全に削除されます。」とあるように、30日間はOpenAIが送信したデータを保持しています。
(参照: New ways to manage your data in ChatGPT – OpenAI公式ブログ )
そのため、チャット履歴をオフにしたとしても、個人情報や企業の機密情報の入力は控えることを推奨します。
なお、こちらも前出したとおりですが、OpenAIのAPIを通じてユーザーが入力した情報も、モデルのトレーニングや改善には使用されません。
しかし、この場合も、OpenAI公式サイトのAPIデータ使用ポリシーのページに「OpenAI は、悪用および不正使用の監視を目的として API データを30日間保持します。」とあります。
したがって、OpenAIのAPIを使用する際でも、個人情報や企業の機密情報の入力は避けるべきでしょう。
GPT-4のよくある質問
GPT-4について詳しく紹介してきました。
しかし、まだまだGPT-4について疑問がある方々もいらっしゃると思います。
そこで、この項目ではGPT-4のよくある質問をまとめました。
本記事を通じて、GPT-4のポテンシャルを最大限に活かすための知見を得ることができるでしょう。
【5/12追記】ChatGPT Plusの新機能「Webブラウジング」「プラグイン(plugins)」について
OpenAIが2023年5月12日に実験的な新機能として「Webブラウジング」と「プラグイン(plugins)」のβ版をChatGPT Plusの会員に提供開始しました。
これらの新機能「Webブラウジング」と「プラグイン(plugins)」はデフォルトでは無効になっています。
有効にする方法を紹介します。
「Webブラウジング」「プラグイン(plugins)」を有効にする方法
「Webブラウジング」と「プラグイン(plugins)」を有効にする方法は以下のとおりです。
- ChatGPT Plusの画面の左下にあるユーザー名をクリック
- 「Settings」→「Beta features」の順に開く
- 「Web browsing」と「Plugins」のそれぞれを有効にする(上の画像を参照)
【5/14追記】GPT-4で「Webブラウジング機能」を使ってみた
それでは、実際にGPT-4の「Webブラウジング機能」を使ってみましょう。
ChatGPTの上部の選択画面から、「GPT-4」をクリックして「Browsing(Beta)」にチェックを入れます。
明日の東京の天気は?と入力しました。ちなみに、入力した日は2023年5月14日です。
日付は、正確に明日2023年5月15日の東京の天気を教えてくれました。
記載の順番が、「・夜 ・朝 ・昼 ・夕方」になってるのが気になるところですが、おそらく「(今日の)夜、(明日の)朝・昼・夕方」のことだと思います。
天気の詳細も文章にして教えてくれました。
ちなみに、Microsoft社の検索エンジン「Bing」で同じ質問をしたところ、下図のとおりでした。
なお、ChatGPTがWebブラウジングをして出力するまで、少し時間がかかります。これは、Bingでも同様です。
検索の時間は、もっと短縮してほしいですね。
とはいえ、GPT4にWebブラウジング機能がついたことによって、最新の情報まで活用できるようになりました。
これは、有料プラン「ChatGPT Plus」のメリットとして、かなり大きいのではないでしょうか。
【5/17追記】プラグイン(plugins)とは?
「プラグイン(Plugins)」とは、あなたのChatGPTをより強力で多機能にカスタマイズするための追加ツールのことです。ChatGPT Plusユーザーであれば誰でも使用可能です。
ChatGPTをさらに便利に使いこなすために、プラグインの使い方をマスターしたいと思っている方も多いと思います。
なお、プラグインってなに?という基本的なことや、今回OpenAIが開発したChatGPT「プラグイン」の詳細、そして食べログを例で挙げてプラグインの使い方の基本を解説した記事を下記に書きました。
プラグインを初歩から知りたいという方の参考になれば嬉しいです。
これまでに紹介したChatGPTのプラグイン一覧
また、そのプラグインの数ですが、2023年5月17日時点で、すでに86種類ものプラグインが使用できるようになってました。今後もさらに増加していくことでしょう。
そんな86種類もあるプラグインを確認してみると、海外のサービスが多く、日本人に馴染みのあるサービスはかなり少ないという印象です。
しかし、それはまだどんなサービスが知らないだけで、使ってみるとびっくりするようなプラグインがたくさんあると思います。
そこで、ChatGPTのプラグインの使い方の紹介をシリーズ化しています。今後も楽しみにして頂けると嬉しいです。
これまでに紹介したプラグインは、「プラグインの一覧(カテゴリページ)」にまとめています。
なお、ChatGPTのプラグインは、最大3つまで同時に活用することが可能です。つまり、異なるプラグインの力を組み合わせることにより、超パワフルなChatGPTを生み出すことができます。
ぜひ、他のプラグインもチャレンジされてみてくださいね!
【7/8追記】ChatGPT Plusの新機能「Code Interpreter」について
OpenAIが2023年2023年7月6日(米国時間)に新機能として「Code Interpreter(コードインタープリター)」をChatGPT Plusの会員に提供開始しました。
「Code Interpreter」機能とは、一言でいうと自然言語指示に基づいたコード生成と実行能力を追加するツールです。
この機能を使えば、プログラミングの知識がなくても、データファイルのアップロードから分析、さらには複雑な数学的計算やデータの視覚化(グラフ作成)まで、これまで専門的な知識が必要だった作業が手軽に行えるようになります。
「Code Interpreter」機能についてはこちらの記事に詳しく解説しています。
【7/22追記】ChatGPT Plusの新機能「Custom instructions」について
OpenAIが2023年7月20日(米国時間)に新機能として「Custom instructions(カスタム インストラクション:カスタム指示)」をChatGPT Plusの会員に提供開始しました。
「Custom instructions」機能とは、一言でいうとChatGPTとの対話を自分好みにカスタマイズできる機能です。
この機能を利用することで、ユーザー自身がChatGPTに対する指示を具体的に設定し、ChatGPTからの応答をより細かく制御することが可能になります。
「Custom instructions」機能についてはこちらの記事に詳しく解説しています。
【9/17追記】ChatGPTの新機能「完全日本語対応となるロケール設定」について
日本時間2023年9月13日頃から、ChatGPTの画面上部に
「あなたの言語でChatGPTの早期プレビューを体験してみてください。[アルファに参加する]」
という新しいメッセージが出現。
アルファに参加すると、ChatGPTが完全日本語対応になりました。
これは、早期プレビュー「アルファ版」に参加すると、言語や通貨、時間形式など、特定の地域に関連する設定である「ロケール」が選択可能になったためです。
日本のロケール(ja_JP)に設定したことで、ChatGPTを完全日本語対応にすることができます。
「完全日本語対応となるロケール設定」についてはこちらの記事に詳しく解説しています。
【9/28追記】ChatGPT Plusの新機能「画像認識・音声会話」について
OpenAIは2023年9月25日(現地時間)、ChatGPTに「画像認識」と「音声会話」の新機能を追加することを発表しました。
この「画像認識」機能によって、ユーザーは送信した画像に関する詳細な情報やアドバイスを直接取得することが可能になります。また、「音声会話」機能を活用することで、ユーザーはChatGPTと音声で直接コミュニケーションを取ることができるようになります。
これによりChatGPTはマルチモーダルなコミュニケーション能力を獲得し、GPT-4Vとなりました。
「画像認識・音声会話」機能についてはこちらの記事に詳しく解説しています。
【10/9追記】ChatGPT Plusの新機能「DALL-E 3」について
OpenAIは2023年9月21日(現地時間)、ChatGPTに新機能「DALL-E 3」を追加すると発表しました。
この「DALL-E 3」は、ユーザーが入力したテキストに基づいて、高解像度の画像をリアルタイムで生成する能力を持つ画像生成AIです。「DALL-E 3」の開発元は、ChatGPTと同じくOpenAIです。
これにより、ついにChatGPTで画像の生成が可能となりました。
「DALL-E 3」機能についてはこちらの記事に詳しく解説しています。
【10/31追記】ChatGPT 新機能「All Tools」について
日本時間2023年10月29日頃、ChatGPT(GPT-4)が驚くべきアップデートを遂げ、新機能「All Tools」が追加されました。
「All Tools」とは、ChatGPTの全機能を切り替えなしで、一つのチャット内で同時に使用できるというものです。
ChatGPTの全機能「リアルタイム検索、文書や画像のアップロードからの分析、グラフ作成、画像生成」などを一連の流れで使用できるようになりました。
「All Tools」機能についてはこちらの記事に詳しく解説しています。
【11/12追記】ChatGPT 新機能「GPTs」「GPT Builder」について
サンフランシスコで2023年11月6日10時(日本時間11月7日午前3時) に開催された開発者向けの初のカンファレンス「OpenAI DevDay」で、新機能「GPTs」と「GPT Builder」が発表になりました。
「GPTs」と「GPT Builder」を使えば、プログラミングの専門知識がなくても、誰でも自然言語を使って「オリジナルのChatGPT」を簡単に作成できるようになりました。
また、他のユーザーが作成して公開した「GPTs」が自由に利用できます。
「GPTs」と「GPT Builder」機能についてはこちらの記事に詳しく解説しています。
【12/10追記】GPT-4が「怠惰」に?GPT-4のパフォーマンス低下問題とOpenAIの対応策
最近、ChatGPTのGPT-4モデルが「怠惰になっている」とのユーザーフィードバックが増えています。
これに対し、OpenAIは12月7日(現地時間)、公式アカウントを通じて、最後のアップデートの11月11日以降モデルを更新していないと認め、問題の修正に取り組んでいることを明らかにしました。
we've heard all your feedback about GPT4 getting lazier! we haven't updated the model since Nov 11th, and this certainly isn't intentional. model behavior can be unpredictable, and we're looking into fixing it 🫡
— ChatGPT (@ChatGPTapp) December 8, 2023
OpenAIは、次のように述べています。
- モデルは11月11日以降、更新されていない
- モデルの行動は予測が難しく、変化は微妙であることが多い
- 特定のプロンプトに対する反応が悪化している可能性がある
- モデル自体が11月11日以降に自己変更したわけではない
- 顧客や従業員によって気付かれ、修正されるまでに時間がかかることがある
このように、GPT-4は依然として高度なAIモデルであるものの、時に予期しない行動を示すことがあります。
これは、AI技術の進化と共に、私たちが直面する新しい挑戦の一つです。今後もGPT-4のパフォーマンスとユーザー体験の向上に向けて、継続的な改善が行われることを期待したいです。
なお、2023年12月2日(日本時間)にOpenAIから届いた以下のメールには、ChatGPTの他の素晴らしいアップデートを近々行いますと書いてありました。
GPT-5がリリースされる前に、GPT-4.5がリリースされるのではないか?という噂もあります。こちらも楽しみですね!
【2024/5/14追記】OpenAIが最新AIモデル「GPT-4o」を発表!
2024年5月14日深夜2時(日本時間)、OpenAIが最新の次世代AIモデル「GPT-4o」を発表しました。
GPT-4o(「o」は「omni(オムニ)」の略で「全ての」を意味する)」は、音声、画像、テキストのリアルタイム処理を実現した強力なマルチモーダルAIです。
ChatGPTと、まるで人間と会話するように自然でリアルタイムに会話することが可能になりました。
What would you like to ask GPT-4o? We’ll pick some live prompts to do on our livestream happening now: https://t.co/hXpkU1YZmx
— OpenAI (@OpenAI) May 13, 2024
また、「GPT-4o」は無料ユーザーにも多くの機能が開放されます。
「GPT-4o」についてはこちらの記事に詳しく解説しています。
まとめ
OpenAIが開発した革新的な自然言語処理モデルであり、その特徴的な機能や利点を持っているGPT-4。
この記事ではGPT-4の基本的な概要や開発背景、GPT-4とGPT-3の違いや、GPT-4の多彩な特徴について詳しく解説しました。
GPT-4の特徴の中でも、マルチモーダル機能や長文会話の対応能力、専門分野への対応などが注目されています。
また、高度なプログラミング能力や文章の添削・校正・要約能力、さらには小説や論文の作成など、幅広い文書作成能力も備えています。
また、GPT-4の利用する方法としては、「有料のChatGPT Plusプラン」や「無料の5つの方法」を紹介しました。
有料プランではさまざまな機能が利用でき、Webブラウジングやサードパーティ製プラグインも活用できるようになりました。
無料の方法としては、Microsoft社の検索エンジン「Bing」や特定のプラットフォームを利用する方法がありましたね。
なお、一方でGPT-4の利用にあたっては注意点もあります。個人情報や機密情報の入力は控えることが重要です。
情報漏洩のリスクが存在するため、安全な利用に心掛けましょう。
最後に、よくある質問に対する解答も紹介しました。さまざまな疑問が解消されることでしょう。
GPT-4の可能性は無限です。あなたが、GPT-4の力を最大限に引き出せるように願っています。
最後までお読みいただきありがとうございました!
これまでに紹介したChatGPT 新機能の一覧
ChatGPTは日々進化しており、新機能が頻繁に追加されています。
これらの新機能は、ユーザーの使いやすさを向上させるため、またより多様な用途でChatGPTを活用できるように設計されています。
これまでに紹介した新機能は、定期的に更新される「ChatGPT 新機能の一覧(カテゴリページ)」にて詳しく解説しています。
新機能を効果的に活用することで、ChatGPTの可能性をさらに広げることができます。
新機能のアップデート情報は、当ブログで随時お知らせしていますので、最新の情報をチェックして、ChatGPTの魅力を最大限に活用しましょう!
最後までお読みいただきありがとうございました!
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