AIの未来を切り拓く歴史的瞬間が、2023年11月6日10時(日本時間11月7日午前3時) に展開されました。
ChatGPTを生み出した革新的な企業、米OpenAIが、世界中の開発者の注目を集める初のカンファレンス「OpenAI DevDay」をサンフランシスコで開催し、AI技術の最前線に立つその姿勢を世界に示しました。
CEOサム・アルトマン氏の基調講演では、「GPT-4 Turbo」などの最新モデルが発表されました。
このイベントは開発者たちに「GPT-3.5 Turbo」のアップデートなどを通じてAIアプリケーション開発の再考を促し、さらにAIの限界を押し広げる新たな「GPTs」や「GPT Builder」、「Assistants API」のような革新的なツールの紹介は、開発者たちの想像力に火をつけました。
また、一般ユーザーにとっても、「GPT Store」の開設などの有益な情報が提供されたことで、このイベントは特に重要でした。
「ChatGPT」は、週間ユーザー数が1億人に達し、「ChatGPT Enterprise」はFortune500社の92%以上で使用され、APIを利用する開発者は200万人以上と発表されました。
そこでこの記事では、「OpenAI DevDay」で披露された革新的なアップデートや、開発者にとって画期的な新API、「GPT-4 Turbo」や「GPT-3.5 Turbo」の機能強化、そして個人ユーザーにも利益をもたらす「GPTs」と「GPT Store」の登場など、私たちのAI利用方法を根底から変える可能性を秘めた新機能に焦点を当ててまとめました。
この記事を読むことで、以下のメリットがあります。
- 「GPT-4 Turbo」と「GPT-3.5 Turbo」のアップデート内容を完全に理解できる
- カスタマイズ可能なAI「GPTs」と作成ツール「GPT Builder」、「GPTs」を市場に提供し収益化する「GPT Store」を理解することができる
- 「Assistants API」が開発プロセスにどのように革命をもたらすかを学べる
AIの進化は止まることを知らず、「OpenAI DevDay」はその進化の最前線を私たちに示してくれました。
この記事を通じて、最新のAI技術があなたの仕事や日常生活にどのように組み込まれ、どのような新たな可能性をもたらすかを、具体的に理解することができるでしょう。
それでは、OpenAIが提案するAIの新しい波に一緒に乗り出しましょう!
「GPT-4 Turbo」の新機能を解説
OpenAIの初の開発者向けカンファレンスである「OpenAI DevDay」において、AI技術の最前線から新たなモデル「GPT-4 Turbo」が発表されました。
これはGPT-4の進化版である「GPT-4 Turbo」で、開発者にとっても、一般ユーザーにとっても、注目すべき内容です。
「GPT-4 Turbo」の新機能:AIの能力が拡張
「GPT-4 Turbo」の注目の特徴と能力①
- 広大なコンテキスト: GPT-4 Turboは、前代未聞の128,000トークン(最大100,000語に相当)までの情報を処理できます。これは、GPT-4の16倍に当たります。128kコンテキストウィンドウは、300ページを超える文量を一度に理解し処理することを可能にします。これにより、より広範囲の情報を持つ複雑な文書を扱ったり、長い会話を続けたりすることができるようになります。
- 最新情報へのアクセス: このモデルは、2023年4月までの最新の世界情勢を網羅しており、現代の出来事やトレンドに関する質問に対しても、詳細かつ正確な情報を提供できます。
- コスト効率の改善: 価格面においても、GPT-4 Turboは非常に経済的です。入力トークンが従来のGPT-4と比べて3倍安価になり、出力トークンも2倍のコスト削減が図られています。これにより、開発者やスタートアップは、これまでにない低コストで高度なAI技術を利用できるようになります。
最新情報へのアクセスについては、すでに通常の「GPT-4」でもアップデートされています。
「ChatGPTの知識が2023年4月まで拡大」についてはこちらの記事に詳しく解説しています。
「GPT-4 Turbo」実例①:GPT-4 Turbo
「GPT-4 Turbo」は、とんでもなく高速ですね。GPT-3.5よりも速いです。
「GPT-4 Turbo」実例②:ChatGPTに論文を埋め込む
ChatGPTに論文を埋め込んで、code interpreterを使っている様子です。
関数呼び出しの進化:「GPT-4 Turbo」で可能になること
「GPT-4 Turbo」の注目の特徴と能力②
- 関数呼び出しの進化: 「GPT-4 Turbo」では、Function callingがアップデートされました。これにより、アプリケーションや外部APIの機能をモデルに説明し、モデルがJSONオブジェクトを出力して関数を呼び出す処理が向上しました。ユーザーは単一のメッセージで複数のアクションをリクエストでき、以前は必要だった複数の往復が不要になります。
- 指示に基づく処理の精度向上: 特定の形式の生成など、細かい指示に従うタスクでのパフォーマンスが改善されました。また、「JSONモード」が導入され、モデルが文法的に正しいJSONオブジェクトを出力することが保証されます。
画像生成、画像認識、音声合成のAPIを公開:GPT-4 Vision API、DALL-E 3 API、TTS API
OpenAIは「GPT-4 Turbo」の機能を、画像生成「DALL-E 3」と画像認識「GPT-4V」の統合、テキストから音声への変換まで拡大しました。
これにより、開発者は新たな次元のアプリケーションを創造することが可能になります。
「GPT-4 Turbo」の注目の特徴と能力③
- GPT-4 Turbo with Vision: 「GPT-4 Turbo」は、革新的な「gpt-4-vision-preview」モデルを通じて画像を入力として扱い、キャプションの生成や詳細な画像分析、図表の読み取りなどを可能にします。これにより、AIは視覚的コンテンツに対してもインテリジェンスを発揮し、より幅広い分析やクリエイティブなタスクを実行できるようになります。安定版リリースの際には、「GPT-4 Turbo」の主要モデルにもVisionサポートが組み込まれる予定です。
- DALL-E 3の統合: モデルID「dall-e-3」を「Images API」に指定することで、「DALL-E 3」を利用できるようになります。これにより、開発者はAIを活用して直感的に画像を生成し、自社のプロダクトやサービスにおいて革新的なビジュアルを提供できます。
- Text-to-Speech (TTS)の機能: 「Text-to-Speech API」により、開発者はテキストから人間のような音声を生成することができます。利用者は6種類のプリセットボイスと、リアルタイム用途に最適化された「tts-1」や品質に優れた「tts-1-hd」の2つのモデルバリアントから選択可能です。
APIとは、「Application Programming Interface(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)」の略で、ソフトウェアやプログラムを繋いで情報をやり取りする仕組みのことです。
コカ・コーラ社が、「DALL-E 3」を使ってキャンペーンを開始します
「GPT-4V」についてはこちらの記事に詳しく解説しています。
「DALL-E 3」についてはこちらの記事に詳しく解説しています。
「GPT-4 Turbo」の注目の特徴と能力④
- Whisper v3の導入: さらに最新の自動音声認識モデル「Whisper v3」を導入しました。これにより、様々な言語の音声データを精度高くテキストに変換する能力が向上し、開発者は多言語の音声を取り扱うアプリケーションを容易に構築できるようになります。Whisper v3は、多言語対応の強化された音声認識を通じて、GPT-4 Turboのマルチモーダル能力を完璧な形で補完します。
- Text2Speech APIもリリース予定: Textの読み上げができる「Text2Speech API」がリリース予定です。
「GPT-4 Turbo」実例③:スポーツのナレーション
早くも、「GPT-4V」と「TTS」を組み合わせて、スポーツのナレーション動画を作成した例が登場。
「gpt-4-vision-preview」にサッカービデオの各フレームを渡し、簡単なプロンプトでナレーションを生成するよう依頼しただけで、下の動画が完成するそうです。
音声が自然すぎて、驚きます。1131フレームのビデオを、10フレームごとにまとめて渡すだけで生成できたそうですが、30ドルほど費用がかかったそうです。
「GPT-4 Turbo」実例④:Webカメラとチャット
これは斬新なアイデアです。
「GPT-4 Turbo」実例⑤:ランディングページの最適化
URLを受け取って画像に変換、Vision APIを通して送信し、ランディングページ最適化の提案を受け取る様子です。
新価格体系:「GPT-4 Turbo」をより手軽に
「GPT-4 Turbo」は、「GPT-4」よりも入出力の価格が引下げられました。価格は全て1,000トークンあたり。
OpenAI DevDayで発表された「GPT-4 Turbo」は、AIと人間のインタラクションを再定義し、開発者にとってはAIアプリケーションの可能性を大きく広げています。
拡張されたコンテキストウィンドウ、最新の情報へのアクセス、コストの最適化は、これまで以上にリッチなAI体験を可能にします。
また、マルチモーダルによる画像処理、DALL-E 3の統合、テキストから音声への変換能力は、AIの利用範囲を大きく広げ、開発者が創造するアプリケーションの多様性を一段と拡大します。
今後数週間で予定されている安定版のリリースにより、「GPT-4 Turbo」は、私たちの生活やビジネス、創造性に対するAIの役割を一新することになるでしょう。
「GPT-4 Turbo」の使い方
現在「GPT-4 Turbo」は、モデルID「gpt-4-1106-preview」で使うことが可能です。
ただし、「ChatGPT Plus」または「ChatGPT Enterprise」の有料プランのユーザーのみです。
また、1,000トークンあたり、入力トークンは$0.01、出力トークンは$0.03の料金がかかります。
Open AI「Playground」にアクセス
「GPT-4 Turbo」の使い方は、まず下のOpen AIの「Playground」にアクセスします。
ログインすると、下の画面のように「Playground」が表示されて、「GPT-4 Turbo」を使うことができます。
メニューには、「Playground」「Assistants」「Fine-tuning」「API keys」「Files」「Usage」「Settings」が並びます。
【11/9追記】ChatGPTとAPI全体に大きな負荷、定期的に停止中
「Playground」の画面の左下に、下の画面が表示されてました。
(日本語翻訳)
APIステータス:ChatGPTとAPIの定期的な停止
DDoS攻撃を反映した異常なトラフィックパターンによる定期的な停止に対処しています。私たちはこれを軽減するための作業を続けています。詳細はこちら
「Learn more」をクリックすると、障害の詳細や「API」「ChatGPT」「Labs」「Playground」のステータスが表示されているページが開きました。
確認した時点では、「ChatGPT」と「API」のパフォーマンスが低下しているということでした。
なお、サム・アルトマンCEOは、X(旧Twitter)で、「新機能の使用率は予想をはるかに上回り、 負荷の関係で、短期的にサービスが不安定になる可能性があります。」と伝えています。
「GPT-4 Turbo」の正式版リリースが待ち遠しいですね。
【11/11追記】ChatGPTとAPIの障害報告が、「Playground」の画面上部に表示されました
「Playground」の画面の左下に表示されていた「ChatGPTとAPIの定期的な停止」が、画面上部に変更になりました。
「Check status」をクリックすると、下の図のように現時点の「ChatGPTとAPIのインシデントレポート」が表示されます。インシデントとは、サービスの問題や障害を意味します。
【2024/4/13追記】「GPT-4 Turbo」がChatGPT Plusなどで利用開始!
OpenAIは2024年4月12日(現地時間)、更新版「GPT-4 Turbo」の提供を開始したと公式Xで発表しました。
この新「GPT-4 Turbo」は、ChatGPTの有料版のPlus、Team、Enterpriseで利用可能です。また、学習データは2023年12月までに拡張されました。
更新版「GPT-4 Turbo」についてはこちらの記事に詳しく解説しています。
「GPT-3.5 Turbo」のアップデートとユーザーメリット
OpenAIは「GPT-4 Turbo」と同時に、「GPT-3.5 Turbo」の新バージョンもリリースしました。
このアップデートは、AIモデルの性能向上だけでなく、開発者やユーザーのアクセシビリティをも大幅に改善しています。
コンテキストウィンドウの拡大:より深い理解を可能に
- 新しい「GPT-3.5 Turbo」は、以前のバージョンに比べて4倍の16Kトークンのコンテキストウィンドウをサポートします。
- これは、およそ20ページのテキストを同時に処理できることを意味し、より長い文書や複雑なデータを扱う際にAIの理解と応答が向上します。
命令に応じた処理の向上:よりスマートなJSON応答
- 「GPT-3.5 Turbo」は、命令に忠実なタスク実行能力が向上しました。これにより、ユーザーが指定した形式のデータ生成がより精確になります。
- JSON、XML、YAMLを含む多様なデータ形式での出力において38%のパフォーマンス向上が見られます。この進化は、特にWeb開発者やアプリケーションエンジニアにとって、大きな利点となります。
新価格体系:「GPT-3.5 Turbo」をより手軽に
「GPT-3.5 Turbo」は、前バージョンと比較して大幅にコストパフォーマンスが向上しています。このコスト削減により、より多くの開発者が高度なAIを利用できるようになります。
価格は全て1,000トークンあたり。
予測可能なAI出力:精度の高いアシスタント機能
- 「GPT-3.5 Turbo」は、新しいseedパラメータを導入し、モデルが一貫した出力を返すようになりました。また、GPT-4 TurboとGPT-3.5 Turboの最も可能性の高い出力トークンのログ確率を返す機能が数週間以内に追加される予定で、これは検索体験のオートコンプリートなどの機能構築に役立ちます。
「GPT-3.5 Turbo」のリリースにより、ChatGPTの強力な機能がさらにパワーアップしました。
拡大されたコンテキストウィンドウは、より多くの情報を一度に理解し、複雑な会話や文書の分析を可能にします。
命令実行の改善は、開発者がより正確な形式のデータを生成できるようにし、価格の削減はAIテクノロジーの利用をより多くの人に開放します。
これらの進歩により、AIの利用はより身近で、より多くの創造的な可能性を秘めたものとなるでしょう。未来のAIアプリケーション開発において、「GPT-3.5 Turbo」は間違いなく重要な役割を果たす存在となります。
「GPTs(GPT Builder)」の紹介:あなたのためのカスタマイズされたChatGPT
「OpenAI DevDay」では、ChatGPTを個々のニーズに合わせてカスタマイズできる「GPTs(ジーピーティーズ)」の発表もありました。
この「GPTs」は、AIをもっと個人に合わせやすくし、みんなが使えるようにすることで、AIのカスタマイズと普及を大きく進めるものです。
「GPTs(ジーピーティーズ)」とは?
「GPTs(ジーピーティーズ)」とは、OpenAIが開発したChatGPTを、自然言語でカスタマイズできる新機能です。
これにより、個々の用途に合わせたChatGPTを作成することができます。
「GPTs(ジーピーティーズ)」の特徴
- カスタマイズ可能なChatGPT: 「GPTs」を使えば、個別ニーズに合わせたオリジナルのChatGPTを作成できることができます。
- 企業と個人の両方に対応: 「GPTs」は、企業が特定の部署やプロジェクトのためにカスタマイズしたAIモデルを構築することを可能にします。また、個人ユーザーも自分の日常生活や趣味に合わせた「GPT」を作成できます
- 「GPT Store」の開設: OpenAIは、自作した「GPT」を公開し、共有することができる「GPT Store」の提供も予定しています。これにより、ユーザーは自ら作成した「GPT」を他のユーザーと共有することができるようになります。
「GPT」を作成できる「GPT Builder」
さらに、ノーコードの自然言語で「GPT」を作成できる「GPT Builder」も発表になりました。プログラミング、コーディング等の知識は不要です。
「ChatGPT Plus」または「ChatGPT Enterprise」のユーザーは、今週から「GPTs(GPT Builder)」で自分のGPTを作成できるようになります。
下は、OpenAIの「GPTs」のイメージ動画です。プログラミングの知識不要で、自然言語で作成できます。
「GPTs(GPT Builder)」の特徴
- 自然言語で「GPT」を作成: 「GPTs(GPT Builder)」を使えば、ノーコードの自然言語で個別ニーズに合わせたオリジナルのChatGPTを作成できることができます。プログラミングの知識は不要です。
- 今週から「GPTs(GPT Builder)」使用可能:「ChatGPT Plus」または「ChatGPT Enterprise」のユーザーは、今週から「GPTs(GPT Builder)」で自分のGPTを作成できるようになります。
「GPTs」「GPT Builder」についてはこちらの記事に詳しく解説しています。
【11/10追記】「GPTs(GPT Builder)」の始め方
僕のChatGPTで「GPTs(GPT Builder)」が使えるようになりました。「GPTs(GPT Builder)」がまだ使えないという方は、順次アップデートされると思います。
「GPTs(GPT Builder)」を立ち上げるには、次の3つの方法があります。
「GPTs(GPT Builder)」の始め方
- 「https://chatgpt.com/create」にアクセスする
- メニューの「Explore」を選択して、「Create a GPT」をクリックする
- メニューの「My GPTs」を選択して、「Create a GPT」をクリックする
順番に解説します。
①「https://chatgpt.com/create」にアクセスする方法
「https://chatgpt.com/create」にアクセスすると、「GPTs(GPT Builder)」の画面が開きます。
3つの方法の中で、一番早く「GPT Builder」にアクセスできます。
②メニューの「Explore」を選択して、「Create a GPT」をクリックする方法
新しいChatGPT画面の左上のメニューにある「Explore」をクリックします。
「My GPTs」のページが開くので、「Create a GPT」と書いてある赤枠の部分をクリックします。
「GPTs(GPT Builder)」の画面が開きます。
③メニューの「My GPTs」を選択して、「Create a GPT」をクリックする方法
新しいChatGPTの画面の左下のメニューを表示させて、「My GPTs」をクリックします。
「My GPTs」のページが開くので、「Create a GPT」と書いてある赤枠の部分をクリックします。
「GPTs(GPT Builder)」の画面が開きます。
「GPTs(GPT Builder)」についてはこちらの記事に詳しく解説しています。
「GPTs」のメリット:カスタマイズが変えるAIの利用法
「GPTs」で何ができる?
- ビジネスへの応用: 「GPTs」は、企業がマーケティング、リサーチ、新入社員のトレーニングなどの特定のユースケースに合わせてChatGPTをカスタマイズすることを可能にします。
- 個人向けサービスの拡張: 「GPTs」は、ユーザーが日常生活で役立つAIを作成することも可能にし、例えば子供に算数を教えたりするChatGPTを構築できます。
「GPTs」実例①:デザインツール「Canva」のGPT
「GPTs」は、ChatGPTを特定の目的や専門分野に合わせてカスタマイズすることを可能にします。
これは、まるでChatGPTの専門家バージョンのようなもので、ユーザーの具体的な要求に応じたカスタマイズが可能です。
専門化された「GPTs」の例
デザインツール「Canva」のGPT
- 「Canva」は、自社のデザインツールに合わせたGPTを作成しました。ユーザーはChatGPTを介して、「Canva GPT」にポスターのデザインをリクエストすることができます。
- 例えば、ユーザーが「DevDayのレセプションのポスターを作って」とリクエストすると、「Canva GPT」はその要望に合わせたポスターを作成します。
このように、「GPTs」は、ChatGPTの広範な能力に特定の専門知識や機能を組み合わせることで、ユーザーに対してさらに価値のある経験を提供します。
CanvaのGPTのように、ユーザーは自然言語で要望を伝えるだけで、AIが必要なデザインを生成し、迅速にビジュアルコンテンツの作成を支援することができます。
「GPTs」実例②:AIアシスタント旅行アプリ
「OpenAI DevDay」の基調講演で紹介された「AIアシスタント旅行アプリ」です。
「GPTs」実例③:曲のプレイリストを自動生成
今年の音楽フェスのラインナップをWebブラウジングで見つけ、Spotifyでプレイリストを作っている様子です。
「GPTs」の将来:個性化されたAIの新時代
OpenAIは、「GPTs」を通じてAI技術の民主化を推進しており、より多くの人々がAIのカスタマイズと応用を自由に行えるようにすることで、AIの利用がさらに身近なものとなります。
企業が特定の業務や部門に特化したAIを利用することで、効率性と生産性を向上させることが期待されます。
また、個人ユーザーも自分だけのAIアシスタントを通じて、日々の作業や趣味をさらに楽しむことができるようになるでしょう。
「GPT Store」の開設:AIのマーケットプレイス
「OpenAI DevDay」では、個々のニーズに合わせてカスタマイズされたChatGPT、すなわち「GPTs」を公開、共有、そして収益化するための新しいプラットフォーム「GPT Store」の開設も発表されました。
「GPT Store」は、今月11月末にリリース予定です。
「GPT Store」は、開発者が作成した「GPT」を広く世に送り出すためのマーケットプレイスであり、AIアプリケーションの革新を牽引します。
AI版のApp StoreやGoogle Playのようなストアをイメージすれば分かりやすいと思います。
「GPT Store」はAIアプリケーション開発を促進し、「ChatGPT経済圏」の拡大を目指すものといえます。
「GPT Store」と「GPTs(GPT Builder)」の関係
「GPTs(GPT Builder)」は、ChatGPTをユーザー自身の用途に特化した形でカスタマイズするツールです。
デザイン、教育、エンターテインメントなど、特定の機能を持つChatGPTを作成し、カスタマイズされたAIである「GPT」を「GPT Store」で配布することができます。
「GPT Store」の機能
- カスタマイズされたChatGPTの配布: 作成した「GPT」は「GPT Store」で公開され、検索可能となります。ユーザーは、自分のニーズに最も適した「GPT」を見つけることができ、開発者は自分の作品を世界に示すことができます。
- 検索と評価: ユーザーは「GPT Store」で、彼らのニーズに合った「GPT」を検索し、評価することができます。また、OpenAIは最も有用で楽しい「GPT」をカテゴリー別に特集します。
「GPT Store」のビジネスチャンス:収益化への道
- 収益化の可能性:「GPT Store」を通じて、開発者は「GPT」の使用状況に応じて収益を得ることが可能になります。このプラットフォームは、開発者がその知識や専門性を活かして経済的な報酬を得る手段を提供します。
- ユーザーへの影響力: OpenAIのCEOサム・アルトマンは、「人々にツールを提供すれば、彼らは驚くべきことを成し遂げる」と述べており、GPT Storeはすべての人々にAIを活用する力を与えます。
「GPT Store」の利用シナリオ
「GPT Store」では、検証済みのビルダーによるクオリティの高い「GPT」が集められ、特定のカテゴリーで特集されることがあります。これにより、ユーザーは信頼性の高いAIツールを簡単に見つけることができます。
「GPT Store」は、AI開発の未来において中心的な役割を果たすことでしょう。
個人の創造性とイノベーションを促進するこのプラットフォームは、ChatGPTの可能性を広げ、新しい経済圏の創出を目指しています。
開発者は、自分の知識や専門性を「GPTs」に注ぎ込むことで、ユーザーに新しい価値を提供し、同時にその努力から収益を得ることができるようになります。
「GPT Store」の全体像はまだ明らかになっていない部分もありますが、AIアプリケーションの配信と収益化の新たな方法として、今後の展開が非常に期待されています。
【2024/1/15追記】「GPT Store」がついにオープン!
2024年1月10日(現地時間)、ついに「GPT Store」がオープンしました!
OpenAI公式発表によると、「GPTs」発表からわずか2ヶ月ほどで、300万を超える「GPTs」が作成されたということです。
「GPT Store」では、以下のことが可能になります。
- 教育、娯楽、ビジネスなど、さまざまな目的に合わせた「GPTs」を見つけて試すことができます。
- 独自のGPTを作成し、公開することで、収益化のチャンスもあります。これは、特にクリエイティブな開発者や専門家にとって大きなメリットです。
「GPT Storeの使い方、GPTsの出品・収益化の方法、カスタムGPTの作り方」についてはこちらの記事に詳しく解説しています。
「Assistants API」で開発者のためのAIアシスタントを構築
OpenAIは、開発者が自分のアプリケーション内でAIアシスタントを構築できるようにする新しいAPI「Assistants API」も「OpenAI DevDay」で発表しました。
このAPIは現在ベータ版で提供されており、開発者は今すぐにでも利用を開始できます。
「Assistants API」の紹介:アプリ内で活躍するAI
- アプリケーション内AI: 「Assistants API」を使用すると、開発者は自分のアプリケーション内にAIアシスタントを組み込むことができます。これにより、ユーザーの問い合わせに対して、より洗練された対話応答が可能になります。
- サポートするツール: 現在、この「Assistants API」は、Code Interpreter(コードインタープリター)、Retrieval(情報検索)、Function Calling(関数呼び出し)の3種類のツールを提供しています。
「Assistants API」の特徴:データ分析からコード生成まで
- Code Interpreter(コードインタープリター): このツールは、安全な環境内でPythonコードを書いて実行します。グラフやチャートを生成し、さまざまなデータとフォーマットを持つファイルを処理できます。これにより、AIアシスタントは繰り返しコードを実行して、難しいプログラミングや数学の問題を解決する手助けをします。
- Retrieval(情報検索): AIアシスタントに、モデル外部からの知識を提供します。これには、独自のドメインデータ、製品情報、ユーザー提供の文書などが含まれます。文書の埋め込み計算や、検索アルゴリズムを実装する必要がなく、ChatGPTでの知識検索構築の経験に基づいて、最適な検索技術を「Assistants API」が選定します。
- Function Calling(関数呼び出し): 定義した関数をAIアシスタントが呼び出し、その応答をメッセージに組み込むことができます。これにより、アシスタントはユーザーの指示に応じて、より複雑なタスクを実行する能力を備えます。
「Assistants API」の活用例:さまざまな業界での応用
- データ分析アプリ: 自然言語に基づいたデータ分析を行うアプリケーションを構築できます。
- コーディングアシスタント: コードの作成やデバッグを支援するアシスタントの作成が可能です。
- バケーションプランナー: 旅行計画の提案や予約支援をAIが行うことができます。
- 音声制御DJ: ユーザーの要求に応じて音楽を選択し、再生するDJアプリケーションを作成できます。
- ビジュアルキャンバス: デザイン作業をAIが支援し、視覚的なコンテンツの作成を手助けします。
「Assistants API」は、AIとのインタラクションを自分のアプリケーションに組み込むための強力なツールです。
このAPIを利用することで、開発者は自分の製品にAIの力を簡単にかつ効果的に活用できるようになります。
自然言語での応答から複雑なタスクの自動化まで、「Assistants API」はあらゆる開発者がAI技術を最大限に活用するための扉を開きます。
OpenAIの新たな著作権保護サービス「Copyright Shield(著作権シールド)」
「Copyright Shield(著作権シールド)」とは?
「OpenAI DevDay」では、「Copyright Shield」という新たな著作権保護サービスも発表されました。
これは、OpenAIの製品を利用している開発者や企業ユーザーが、もしアプリケーションやサービスで著作権侵害の訴えを受けた際、OpenAIが法的な介入を行い、かかる費用を支払うというものです。
ただし、「Copyright Shield」は無料版や「ChatGPT Plus」ユーザーには適用されず、「ChatGPT Enterprise」の利用者や開発者プラットフォームの利用者に限定されます。
「Copyright Shield」の範囲とメリット
「Copyright Shield」は、ユーザーが意図せずに著作権を侵害してしまった場合に適用されます。つまり、ユーザーが悪意を持って侵害行為をした場合は対象外です。
OpenAIは既にシステム内で著作権保護のための機能を組み込んでおり、この新しいシールドはさらなる安全策としてユーザーをサポートします。
この種の保護は、生成型AIを扱う他の大手企業、例えばMicrosoftやGoogle、Amazonも提供しています。これにより、AIを活用する企業や開発者は、知的財産権の侵害に関する法的リスクを少なからず軽減できるようになるメリットがあります。
万が一AIの出力が知的財産権を侵害してしまった場合に、OpenAIが救済措置を講じるというのは、多くのユーザーにとって大きな安心材料となるでしょう。
まとめ
「OpenAI DevDay」で発表された最新の進化は、AI技術の活用法を根本から変える可能性を秘めています。
「GPT-4 Turbo」と「GPT-3.5 Turbo」のアップデートにより、開発者はより精度高く、広範なコンテキストでの対話を実現できるようになりました。
「Assistants API」は、開発者が自社アプリ内でAIアシスタントを独自に構築できる道を開き、さらに「GPTs(GPT Builder)」によっては、個人に最適化されたChatGPTの構築が可能となります。
そして「GPT Store」がその成果を共有し、収益化するプラットフォームを提供します。
最後に、「OpenAI DevDay」の重要なポイントをまとめます。
「OpenAI DevDay」の重要なポイント
- 「GPT-4 Turbo」の新機能:拡張されたAI能力でより複雑なタスクと大規模なデータを処理。
- 「GPT-3.5 Turbo」のアップデート:16Kトークンのコンテキストウィンドウで深い理解が可能に。より手頃な価格で「GPT-3.5 Turbo」が利用可能。
- 「GPTs(GPT Builder)」の登場:個人やビジネスに合わせてChatGPTをカスタマイズできる「GPTs」。ノーコードの自然言語で「GPT」を作成できるツール「GPT Builder」も登場。
- 「GPT Store」の開設:開発者が作成した「GPT」を市場に提供し収益化。
- 「Assistants API」の導入:アプリ内でAIアシスタントを容易に構築し、幅広いアプリケーションに応用。
- 「Copyright Shield」の導入:著作権侵害に関する法的な請求に直面した際、発生したユーザーの費用を負担する著作権保護サービス。
この記事で得た知識を活かして、あなたもAIの新たな地平を開拓する一歩を踏み出しましょう!
未来は待ってはくれないのです。今日から始めて、自分のアイデアを形にし、世界と共有する旅を始めてください。
これまでに紹介したChatGPT 新機能の一覧
ChatGPTは日々進化しており、新機能が頻繁に追加されています。
これらの新機能は、ユーザーの使いやすさを向上させるため、またより多様な用途でChatGPTを活用できるように設計されています。
これまでに紹介した新機能は、定期的に更新される「ChatGPT 新機能の一覧(カテゴリページ)」にて詳しく解説しています。
新機能を効果的に活用することで、ChatGPTの可能性をさらに広げることができます。
新機能のアップデート情報は、当ブログで随時お知らせしていますので、最新の情報をチェックして、ChatGPTの魅力を最大限に活用しましょう!
最後までお読みいただきありがとうございました!
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